『響けユーフォニアム』を今更読み終えました。

今の今まで、カバンに入れておきながら読めませんでした。

もしかしたら、いやもしかもしていない。僕は憧れていた。書物の中にある物語、その青春の日々に。

僕はその他大勢と比べればひん曲がっているだろう。人間関係が嫌いだったから、人と同じことがなんだかダメだった。何かしら「自分」というモノを、世界に残したい。そんな欲があった。それは他の人間にも少なからず備わっていることだろう。

だけど、どっちがどっちだと簡単には決められない。程度がある。皆というその他大勢と共に歩みたいという、青春への憧れ。それに反する僕の「他とは違う、特別になりたい」という欲。これらはどちらも存在し、もしかすると両立出来たかもしれない。

だがそんなことも無く時は過ぎる。今ではお酒を飲んでも咎められないし、タバコも許される(それらをすることを僕自身が許さんがね)。戻ることの無い時間を考えるだけ無駄だったってそう思う。そしてその反面、戻りたい、こんな青春を送りたい。そんな思いも心中に確かにある。

そう考えると、なんだかページをめくるのが怖かった。現実と物語との、愕然とした大差に、今の僕が絶望するんじゃないかって。そしてそのまま崩れ落ちて、修復不可能なまでに壊れるんじゃないかって。

だけど、そんなことはなかった。読んでいくうちに、この物語の中の人たちもきっと同じなんだって思えた。何かしらの悩みを抱え、苦悩し、それでも前へ進んでいる。

この『響けユーフォニアム』という作品のように、僕は青春を送ることはなかった。だけど、形が違うだけだって思えた。

だから僕の青春は、これでもいい。
僕がそう思えればそれでいい。